ラブライブ!スーパースター!!3期第2話の感想

2期ラストから地続きで繋がる3期の物語の道筋をしっかり示した3期1話はさながら2話のような味わいだとすると、3期2話は3話のような味わいに仕上がっていたような印象だった。

タイトルの『トマカノーテ』というのも1期3話の『クーカー』を彷彿とさせるものとなっており、トマカノーテとしての物語の序盤の盛り上がりどころである3話的役割の回になっている。

1話でライブシーンがなかった代わりに、2話にライブシーンが来るというのは従来のシリーズにはなかった構成だ。

2話にしてマルガレーテがすでにスクールアイドルの楽しさを感じるところまでいっていて、思ったよりもかなり早いテンポで話が進んでいる。

今回、スクールアイドルアンチだったマルガレーテが、スクールアイドルの楽しさを感じるまでの心境の変化をそこまで細かく描写しているわけではない。

しかし、今回重要なのは、歌で想いを伝えることではないだろうか。

歌の力を振りかざし、スクールアイドルを馬鹿にした横暴な態度によって大炎上したマルガレーテは、歌を聴いてもらえなくなった。

一回どん底にまで沈んだからこそ、誰かに歌を聞いてほしいという切実な想いが芽生えた。

歌で誰かに自分の想いを届けたい、それは2期のマルガレーテに最も足りなかった部分。

マルガレーテを嫌いになってしまった人でも、この歌を聞いて想いを感じ取ってほしいという願いが込められていて、歌でわからすというのが今回最も重要だったように感じる。

だから細かく心境の変化を描くのは野暮なのかもしれない。

作中のスクールアイドルファンたちは当然彼女らの裏側は見ることはできない。

神聖なラブライブを荒らしやがってと怒り狂っている人たちを、このライブひとつで納得させなければいけないのだ。

今回のライブシーンにはその説得力があったように感じた。

マルガレーテにとっての本当の『本当の歌』

それが『Bubble Rise』

 

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今のマルガレーテの気持ちを包み隠さず込めた内容。

高所からかのんを見下ろしていたマルガレーテは今は海中まで沈んでいる。

歌の力で他者を圧倒しようという強さを全面に押し出したこれまでの曲とは打って変わって、穏やかで優しい印象の曲調になっている。

マルガレーテ自身の変化というのもあるが、かのんとの共作という影響もあるだろう。

マルガレーテ一人ではおそらくこうはなれていない。

あくまでマルガレーテメインの曲ではあるものの、マルガレーテを支えるかのんの優しさもこの曲の一部なのかもしれない。

『好きの気持ち それが強さなんだ』という歌詞が特に印象的で、マルガレーテは変わったんだなというのを強く感じさせる。

かのんはマルガレーテに歌で純粋に心がキラキラした瞬間はいつだったのかを聞き出した。

マルガレーテにとっての歌の原体験は、一人で寂しかった時に聞こえてきた、その寂しさを吹き飛ばしてくれた歌。

マルガレーテにとって本来好きだった歌とはそういうもの。

その気持ちを取り戻すことがスクールアイドルとしての第一歩。

2年間の経験で『本当の歌』に辿り着いたかのんは、マルガレーテを導くことができる。

『Bubble Rise』とは、どん底まで沈んだマルガレーテが泡のように再び上に昇っていくんだという気持ちが込められているのだろう。

翼などなくても飛べると言っていたマルガレーテが今は海中にいるような気分であるということは、もう負けを認めたということだろう。

Liella!に負けたということを認め、恥も捨てて、再起を誓う。

それは口先だけではない、心からの想いであることがちゃんと伝わるようなパフォーマンスになっていると思う。

スクールアイドルが好きなスクールアイドルのファンならこのステージを見て何も感じないわけがない。

マルガレーテに対して敵対心を持っていた可可やメイも感動していることからもそのことがわかるだろう。

マルガレーテはスクールアイドルとして大事な想いを獲得した、というのが重要ではあるのだが、それだけでなく3人のパフォーマンス力の高さも注目すべきポイントだ。

今回の曲はド派手でインパクトがあるような曲ではない。

そういう曲なら分かりやすく強さを演出できるのだが、このようなゆったりとした穏やかな曲調でも高いパフォーマンス力であることに説得力がある丁寧で非常にクオリティが高い作画、CGの仕上がりには目を見張るものがある。

表情や髪のなびき、指先の表現等細部にまでこだわって作られたであろうアニメーションは彼女らの想いを届けるのに十分なレベルに達している。

このアニメーションが酷い出来なら全ての説得力を失い、大事な想いは届かなくなってしまう。

画でわからす、それができる人たちだという信用がなければできない脚本だと思う。

今回バストアップの作画からカメラが引く時にさりげなくシームレスにCGに切り替わるというカットがあって、その切り替わりがあまりにも自然でパッっと見どこが作画でどこがCGなのかわからないレベルになっていることに驚いた。

その手法は京極監督は無印からやってはいるのだが、ついにここまできたかという感動がある。

以前はCGクオリティ上がったねぇ〜とか、ちょっと違和感あるなぁとかいう話題を目にしたが、ここまで来るとCGをCGとして意識せず純粋に一人のキャラとして集中して見れてしまうので、もはやすごいともあまり言われなくなってきているのが逆にとんでもなく凄いことだと思う。

 

今まで力だけをひたすら磨き上げていたマルガレーテは、今回スクールアイドルとして大事な想いを獲得しただけでなく、楽しいという気持ちも獲得した。

今回のライブは、1万いいね以上を獲得することでチャレンジ枠として代々木スクールアイドルフェスへの出演できるということでエントリーしたもの。

しかし、当日集まった視聴者は1万人に届かず、始まる前から負けが確定してしまう。

勝ちにこだわり続けてきたマルガレーテと、合理性を重視する冬毬は、この状況なら歌うのは無駄と判断する。

しかし、かのんは違う。

勝ちたいという気持ちを持って上を目指すことは大事だが、結果が全てではないということを知っている。

一番になれなかったとしてもこれまでやってきたことは決して無駄にはならない。

本当に大事なのは結果よりも過程。

かのんがクーカーとして初めてスクールアイドルのステージにたった時に感じたあの気持ちを後輩にわかってもらいたい、それが今のかのんの使命だ。

始まる前から負けが確定したことで、逆に勝負から解放され、歌は楽しいものだったんだということを思い出すマルガレーテ。

マルガレーテだって最初は歌が好きで楽しくて歌っていたはずで、歌は本来は誰かを倒すための武器ではない。

「歌、久しぶりに楽しいって思えた」と言ったマルガレーテに対して、かのんが「その気持ち、ずっと持ってようね」と言ったことに重みを感じるのは、Liella!は勝ちにこだわってその気持ちを失いかけたことが何度もあるから。

楽しいという気持ちを常に一定に保つことは非常に難しい。

勝ちたい、もっと上手くなりたい、もっと頑張らなきゃ、といった気持ちが強くなることで、楽しいという気持ちは薄れていく。

何度も迷って悩んでそれでもやっぱり歌って楽しいんだというところに回帰できたということが描かれたのが2期のストーリー。

2期を経て大きく成長したかのんだからこそ言える、しっかり気持ちが乗った言葉になっていて、今までよりも長い3期構成の物語だからこそできる面白さを感じられる。

また、客が少ない、それでも歌おうという展開は伝説の無印3話と重なる部分がある。

μ’sから始まったラブライブシリーズが大事にし続けたスクールアイドルとして大事な本質的な部分が他のシリーズに受け継がれ、それがかのんにまで届き、そしてスクールアイドルアンチだったマルガレーテへ受け継がれることで、マルガレーテがスクールアイドルのスタート地点に立てたという物語は、壮大さを感じる。

やはり結んでいく、繋いでいくというのがラブライブスーパースターとしてのテーマの一つで、ラブライブを後世に伝えていきたいというのが京極監督の想いなのだろうか。

今回の曲がすごく良かったのは、マルガレーテが負けを経験したからこそ歌える曲になっていたこと。

負けから学びを得て、悔しい気持ちも歌に変えて力にしていく。

そういうこともできるのが歌の魅力だし、負けることにも価値はあるということを感じさせてくれたことに感動した。

 

今回、マルガレーテはスクールアイドルとして大事な3大要素が2話にして揃ったことになる。

 

この3大要素が揃ったということは、客に想いが届くということ。

一人でサニーパッションを倒したほどの力があるマルガレーテが想いと楽しむ気持ちを手に入れてしまうとLiella!ですらも太刀打ちできなくなってしまう。

かのん不在の8人のLiella!はさらなる成長を遂げる必要があり、それには四季メイのセンター経験、鬼塚姉妹の確執の解消、次期リーダー候補としてのきな子の成長、可可の上を目指すモチベーションの回復等があるだろう。

その辺りがどうなっていくのか、今後の展開が楽しみだ。

 

ここまでマルガレーテの事を中心に描いてきたが、忘れてはいけないのが鬼塚冬毬という存在。

冬毬はなぜここまで合理主義になってしまったのか?、プロフィールには姉である夏美が大好きと書かれているが夏美との関係性とは?、気になるところが多い。

また、夏美とは対照的な妹の登場によって夏美が思った以上に魅力的に見えてきたというのも面白い。

ここまで合理性を重視する冬毬に姉として絶大な信頼を得ているであろう夏美の家での姿とは?

早く鬼塚姉妹回を見たくなってくる。

冬毬にとってスクールアイドルは金にもならない無駄なことであるという認識だが、今回のライブで少し意識が変わったのだろうか。

思ったより冷徹な人間ではなく、意識して冷徹になろうとしているような印象もあるが、どうなっていくのか。

トマカノーテのライブはあくまでマルガレーテの歌いう印象が強く、冬毬の想いというのはまだ感じられないので、トマカノーテもまだまだやらなければいけないことがある。

冬毬がどのようなスクールアイドルになっていくのか、見守っていきたい。

 

次回は『白色のセンター』

かのんが抜けて8人と偶数になったLiella!はダブルセンターとして四季メイが選ばれるのか?

Goリスタートをきな子センターとしてカウントすると、センター未経験者は四季メイの二人となるので、Liella!が最強になるためにはこの二人のセンター経験は必須になるだろう。

2話がライブ回だったが、連続でライブ回になるのか?

どうなる次回!

 

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